
新生児が過ぎる頃から、目を開けてママを目で追ったりするようになり、初めて小さなガラガラを持たせてみました。最初の握力のないころには鉄アレイでも持ったかのようにガラガラ振ることが出来ませんでした。だんだん大きくなると、右で持たせたガラガラはいつの間にか左で持ち替えるようになっていました。気のせいかなぁと思い、また、右に持たせてみると、嬉しそうにガラガラ振りながら、左手に持ち替えるのです。
では、左に持たせるとどうなるのか?と思い左手にガラガラを持たせると、今度は左だけでガラガラを延々と振っては嬉しそうにしている娘がいました。
不思議!と思った瞬間でした。
そのうち、離乳食が始まるとスプーンを持つようになりました。当然、私だっていいママになりたくて、右に持たせてました。世の中は、右社会なのだから。そして、当然、娘はスプーンも右手から左手に持ち替えるのでした。当時は私だってちゃんとしたママになりたいから、スプーンは右手に根気よく持ち替えさせていました。そして行き着く先は、右手にスプーンを持たせるとスプーンで食器をガンガン叩きあげくには、ぽーーいと投げてしまうという始末でした。ついには、左手で手づかみでご飯を食べていました(笑)
私だって、ちゃんとしたママになりたいから、あちこちに相談しました。健診で会う保健婦さんにはまだ小さいうちに直すほうがいいですよ、とアドバイスをいただきました。公共的なところでの相談は、みんな同じ意見で、“今直すべき”でした。もっと根気よく右手に持たせてあげると出来るようになりますよと励まされてきました。
主人は、娘の左利きを見て、遺伝だなと言っていました。主人も私も、両祖父母も右利きで、私の兄弟も右利きなのです。親族に、左利きは見当たらないなのになぜ、遺伝?というんでしょう。もともとは主人は左利きだったらしく、箸と鉛筆は右手に強制的に直されたと言っていました。今も、名残りがあって瞬時に何かをつかむときは左手で、開かない蓋を開けるのも左です。主人の祖父も器用な人で右利きだったけれど、努力して直したと聞くと遺伝なのかぁと少し納得出来て安心したのを覚えています。
遺伝とは言え、やはり、直すべきなんだろうなぁと当時は悩んだものです。自分に自信がないから、プロの方々からのアドバイスが耳を離れることはありませんでした。そのうち、自分が悪いから子供の左利きを直せないのではないか。と、落ち込みました。だって、私は、いいお母さんになりたかったのです。根気よく、右手でスプーンを持たせて、意地があけてスプーンを放り出す娘をなだめながらご飯を食べさせていました。そんな苦労なんて押しのけて、娘の左手は日常で大活躍していくのでした。太鼓をたたくのも左、ブリックパックのジュースを持つ手も左。チョコレートの包装を取るのも左手。何をやるのも左手がいいのです。当然、砂遊びのスコップも上手に左手で持っていました。
どうしたものかと思っているところに、アメリカで子育てをしている主人の叔母さんと話すことがあり、娘の左手の話をしました。叔母さん曰はく、『そんなことで悩むことないのよ。アメリカは、日本よりずっと左利きの人は多いし左利きで困っている人なんてみたことないわよ。日本人は、右だの左だの言い過ぎ。右社会だから、右利きだなんてもともと左利きの子にしたらいい迷惑よ。使いにくい利き手でご飯を食べるほうがかわいそうよ。問題ないのよ。生まれた時から、左利きだったのよ。決まっていたのよ。神様からのプレゼントだから無理に変えなくていいのよ』
叔母さんのアメリカ的な言葉でずいぶん救われました。肩の荷が下りたのです。
冷静に考えて見ると、困っていたのは私だけなのです。私が左利きを根気よくなおすことが良きママになることだと思っていっただけなのです。その気持ちに気付いてから、本当に心が楽になりました。もう、無理に右手で持たせたりしないで育てようときっぱりと決めることが出来ました。
育児に一般的な常識で子供は育たないんだと知りましたし、どんなにプロの方々といえども、それを鵜呑みにして子供を育ててはいけないと学びました。育児書のノウハウを学んでいてもその通りに子供は育たなくて当然だと反省しました。自分にきちんした主軸がなければこれからも、私は、ずっと人の意見に流され、世間に呑み込まれて生きていくことになんだと反省が出来ました。これを機に私は、育児書は読まず心理学や哲学書、スピリチュアル系の本をたくさん読んでいくようになったのです。子供から、たくさんのことを学んできました。
・ちなみに、息子は、生粋の右利きの子でした。ガラガラは右に持たせるとずっと右手で振り続け、左に持たせると握力のなさからポロンと落としていました。スプーンも右、トミカをもって眠るのも右手。姉弟でも全く違うのです。
・左利きの娘は、その後保育園では多少の行き違いがあったものの左利きでなにか困ることは、一度もありませんでした。本人はもう一生困らないと思うと言っています。
・赤ちゃんの時の、ガラガラ遊びを良く観察してください。我が家はここがルーツでした。もうすでに生まれた時には、左利きとして生まれてきているとしか思えません。最近の文献には、左利きの子はお母さんのおなかの中でも、左手をおしゃぶりしていたというデーターもあるらしいですが、私も、大いに同感します。